自分で自分の顔は見られない。 1 が、人間のである。鏡に映せばそれは見られる。しかし、 2 は鏡に映すぞ...という心構えを経たのちの自分の顔であって、 3 にはすでにいい顔への演技演出がひそんでいる。 自然の、ありのままの顔などではあり得ない。 ほんとうの自分の顔って、どんな顔なのだろうと非常に興味深く思う。 写真を見るたび、 4 顔か...とがっかりしたり、苦笑したりするのだが、 5 は実のところ、自分の顔を買いかぶって考えている証拠なのだろう。だが写真に映った顔というのは、まことに信用しがたいと思う気持ちは抜けがたい。 写真家の秋山庄太郎さんがある時しみじみ言っておられたが、たいていの人は、写真を撮り終わった瞬間に、いちばんいい顔を見せるそうである。だから写真家は、二番目以下の顔しか撮れない、 6 が、写真のだ...というのであった。