子供に食事の(注1)マナーを教えるときは、「00すべきである」「00しなくてはならない」というように、自分の考え方を押し付けるのでは子供たちは納得しません。子供たちは、「美しい食べ方をしていると、人から「素敵だ」とか「かっこいい」とか思われる」という体験を通して、美しいマナーの意味を納得するのです。 それには、家庭や学校などの集団の中で、子ども自身に自分の(注2)ありようを意識させることです。そして、きれいで美しい食べ方ができたときには「きれいにたべられたね」「かっこよく見えるよ」とほめてあげましょう。 子供はほめられたことで「またこのようにしてみよう」と思います。こうして(中略)美しいマナーが習慣となり、その場に応じた美しい自己の(注3)振る舞いを身につけていくことができるのでしょう。 ところで、皆さんは食事のマナーが成立するには他者の関係が不可欠であることにお気づきでしょうか。 人は人前で食事をするとき、一人で食べるよりもそれなりに整った食べ方をしようとするものです。それは「自分をよく見せたい、人からよく見られたい」という気持ちが根底にあるからです、だから食事のマナーを身につける必要性が自然に生ずるのです。 一方、一人で食事をするときは、食事のマナーを感ずることが少ないのではないでしょうか。近頃の家庭に多く見られる「子供の孤食」は、子でも適切なマナー観を身につけさせるという意味においても考慮すべき問題であるといえるのです。 (注1)マナー:行儀、作法(注2)ありよう:ようす、姿(注3)ふるまい:人前で物事を行う態度 (注4)マナー観:マナーについての考え方